2021-06-27

海の生態系・海の小さな生き物(チリモン)探し

 立川市立小学校科学教育センター 2021.6.26 

アドバンスコース(6年生)午前・午後(70名)

1.ねらい

昨年度は、顕微鏡で植物の花粉と淡水プランクトンの観察を行った。
食物連鎖の一番下にいる植物・動物プランクトンの観察を通して、光合成を行う植物とそれを食べる動物の関係・地球上の生物のつながりを考えた。
この80名の子どもたちが、今年度は海の小さな生き物の観察を通して、海の生態系に気づき、2年間の2回の観察を通して、地球環境を食物連鎖の観点から考えることができるようにする。

2.構成

①講師の話(15分) 海の小さな生き物の話、実習・観察の手順

②実習(海の小さな生き物探し)「観察用チリメンジャコ」から探す→顕微鏡や虫眼鏡で観察して、資料をもとに名前を見つける→記録カードに貼る(海の小さな生き物ミニ図鑑)70分)

③講師の話(15分)海の生態系・食物連鎖の視点から見た地球環境
連絡・片付け(10分)

3.展開

①講師の話(15分) 海の小さな生き物の話、実習・観察の手順

■海の生態系(後半で話すので簡単にふれる)

食物連鎖    

・海藻や植物プランクトン 海上に浮遊(地球上の酸素の半分以上を生み出す)

・動物プランクトン(それを食べる)

・小魚がプランクトンを食べる

・大きな魚が小魚を食べる

・海の特徴    

光合成に必要な太陽光が届くのは水面下100m以下、だから小さい生物は海上付近に浮遊

・海の小さい生き物 

動物プランクトン

魚・貝・エビやイカなど・・・大量の卵を海中に放出→それが小魚の大量の食べ物

プランクトンのままの姿でなく、この魚介類の産まれたばかりの大量の生き物の存在が海の小さな生き物の特徴→目に見える


■海の小さな生き物 それを探してミニ図鑑をつくるのが今日の実習です

・ちりめんじゃこ イワシ類の小魚をとり(シラス漁)、熱湯でゆでて、混じり物を除いて乾燥させた食品

・この混じり物の中に、様々な魚・貝・エビやイカ類の産まれたばかりの生き物がいる。これらは成長した姿とは全く違う姿をしているものが多い。モンスターのようだ!と言って、「チリメンモンスター」という言葉が出来た。今日は、それを探し出す。

■実習の進め方

ビデオも使って作業手順の説明をする
海の生態系の説明

②実習(「実習の進め方」ビデオを見せる…5分間の講師の自作)

・感染症対策で、

◇基本立たない(資料は個人用パンフとグループ資料、わからないときは掲示物か講師に)

◇個人作業
・材料を1枚目の紙に散らす→隣の紙にピンセットで種類ごとに分けていくつか移す。
・虫眼鏡や解剖顕微鏡・双眼立体顕微鏡で観察して、資料を見ながら、名前を見つける(グループ内教え合い)
・名前が分かったものは、白ボンドを使って用紙に固定して、名前を書く。(仕上げ方法の説明)
ピンセットで取り出す

記録カードに貼って名前を書く

名前を調べる

顕微鏡で観察する

タツノオトシゴも発見!


ミニ図鑑で調べる

③講師の話(白ボンドが乾燥するのを待つ間に話す)
■地球の歴史と、海からの生命の誕生
・46億年前     
地球の誕生(マグマの海・蒸気・窒素・二酸化炭素炭素など・・)

・43億円前     
誕生から3億年後、地球の温度が下がり、原始大気の中の水蒸気が雨→原始の海の誕生
(酸性の海→中性の現在の海へ)

・36億年前     
誕生から10億年後、最初の生命が原始の海で生まれる
海に海藻類が誕生、光合成  →酸素が増え、オゾン層が形成され、紫外線が弱まり、陸上で生命が生きていける条件ができてきた

・4.2億年前    
植物が海から陸へ、やがてド植物を食べる動物の誕生へ

■地球環境の話
食物連鎖・・・鎖(チェーン)の一か所が崩れると全体のバランスが崩れ、生命全体の生存が危うくなる。
地球温暖化・・植物プランクトンの存在・役割(海の環境保全の意味にふれる)
海の小さな生き物のまとめ

4.板書計画(略)

5.準備するもの

・材料 チリモン(200g入り910袋 
1袋を20人で分けて容器に入れておく、途中2回目配布

・小プラスチック容器(人数分×2)80個

・(個人)ピンセット、虫メガネ、A4白用紙2枚、記録カード1枚(9個分)、ようじ1本、ミニパンフレット

・グループ 
解剖顕微鏡1台、双眼立体顕微鏡1台、
白ボンド(スタッフが紙にのせる)、
資料6枚セット
番号カード1枚(掲示物にある生き物の番号記載、ミニパンフの番号と照合させる)
記録カード(追加分)

・最後にビニール袋を配り、作品を入れて帰る。

「チリモン」(カネ上)


用意するもの


ミニ図鑑と記録カード


■参考資料(今回、活用した資料)
・海のミクロ生物図鑑(西田百代) 
・イラストで分かる海のミクロ生物の見分け方(西田百代)
・海のミクロ生物ミニ図鑑(大阪自然環境保全協会)
・チリメンモンスターの秘密(きしわだ自然資料館 武田正倫)偕成社
・チリメンモンスターを探せ(きしわだ自然資料館 きしわだ自然友の会 日下部敬之)偕成社
・ビデオ4編 チリモンの見分け方魚類 タコイカ甲殻類、チリモン探しの進め方、ちょっとおもしろい話
・YouTube動画 植物プランクトンの不思議(北海道大学大学院水産化学研究院 工藤熊)
・チリモンweb図鑑 http://chirimon.jp/howtouse/ 
・NHKforSchool 海をただよう動物プランクトン
・2014年度 日本海洋学会賞受賞記念論文
 海洋における植物プランクトンの生理生態と物質循環における役割に関する研究*古谷 研
・海の生態系
日本海事広報協会HP https://www.kaijipr.or.jp/mamejiten/shizen/shizen_4.html 
・株式会社カネ上 ホームページ
〒643-0006 和歌山県有田郡湯浅町田336番地  TEL:0737-63-3389
電話注文(0120-677-567)

6.自作のビデオ

「子どものための自然と科学の広場」YouTubeチャンネル(自作)

●海の小さな生きもの図鑑(ずかん)
説明 海の中の小さな生きものを見つけましょう。かんさつようの「ちりめんじゃこ」の中から見つけます。よういするもの・見つけかた・図鑑(ずかん)のつくりかたをつたえます。
動画リンク https://youtu.be/LnyPsq7Ospw

●UVレジンでエビ・カニ・魚
説明 アクセサリーづくりで使われるUVレジン液。しがい線(太陽の光)があたると、かたまります。それをつかった海の小さな生き物の標本の作り方です。(大人といっしょにやりましょう)
動画リンク https://youtu.be/rrZTGS6mO2M 

7.記録カードと、見つけた海の小さな生き物

記録カード(ヒイラギ・カワハギ・ヤガラ)

アナゴ・アキアミ・カニのゾエア


ノコバウミノミ・トゲワラカラ・カタクチイワシ