【5年 人の誕生】
1.ねらい
人の発生や成長について、植物やメダカの孵化の学習と関連させながら考え、人は、母体内で成長して生まれることを理解させる。
・胎児は、母体の中で養分と酸素を受け取り、受精卵から成長していくことを理解する。(知識)
・植物やメダカと比べて、人も植物やメダカと同じ生物であると考える。(科学的思考)
・受精卵から成長する様子を調べる。(表現・技術)
2.学習指導計画(5時間)
(1)動物の誕生
植物(インゲン豆)や動物(めだか)の誕生の学習をふりかえり、動物(哺乳類)としての人の誕生について興味関心を持つ。(2)(3)母親のお腹の中での成長
課題①母親のお腹のなかでの赤ちゃんはどのようにしているのだろうか話し合いを通して、課題②「母の体内で胎児は、どのように成長するのか」をつくる。
キーワード:子宮・胎児・卵子・精子・受精卵・羊水・胎盤・へその緒」「胎児の大きさの変化」
(4)母胎内での胎児の成長
課題②「母の体内で胎児は、どのように成長するのか」ワークシートに書く。
(5)命のバトン
課題③「うけつがれる命」のテーマに合うようにカードを並べかえてみよう。3.授業の記録
(1)動物の誕生
◆植物(インゲン豆)や動物(めだか)の誕生の学習をふりかえり、動物(哺乳類)としての人 の誕生について興味関心を持つ。植物 インゲン豆 芽や根のもと・子葉(養分)→発芽
メダカ 産卵・受精卵 →孵化
動物 人 母親の胎内・受精卵 →赤ちゃんの誕生
◆「疑問に思っていることや調べたいことを書いてみましょう」
①お腹の中で赤ちゃんは、息をしているのか(どうやって)?
②おしっこは、どうしているか?
③うんちは、どうしているか?
④栄養は、どうやってもらうのか?
⑤赤ちゃんは、おの中にどのくらいいるのか?
⑥お母さんのお腹の中で、どうやって大きくなるのか?
⑦お母さんの声は聞こえるのか?
⑧どのくらい寝ているのか?
⑨動いているのか?
⑩目は見えるのか?
⑪病気にならないのか?
⑫どんな形をしているのか?
⑬初めにできるのは何か(めだかと比べて)?
(2)(3)人の誕生
課題①母親のお腹のなかでの赤ちゃんはどのようにしているのだろうか【授業前の板書】
〇全員の絵を黒板に張り出し、気付いたことを発表して、話し合う。
〇胎児の向きが逆になっているのとそうでないものとの2種類あること、へその緒でつながっていること、お腹の中で浮いていること、それが宇宙飛行士が宇宙船の外で仕事をしているのに似ていること、などが意見として出される。
また体の周りは何があるのか?なんで逆さまなのがあるのか、その理由は?息をしているのか、など疑問点もたくさん出される。
〇教科書の子宮内の図と解説を見て解決していく。キーワードとして、子宮、羊水、へその緒、胎盤、胎児を確かめます。初めの絵で胎盤を書いた子どもはいませんでした。へその緒は7割程度書いていました。話し合いの後、自分の絵に描き加えました。板書は修正した絵を再度張り出したものです。
ノートに今日の学習でわかったことや思ったことを書きました。2時間続きでしたがとても興味を持って集中しました。自分の体への関心の高さを感じた授業でした。
【子どもノートより】
◇母体内の予想 おなかの中にいるときは、胎児という。胎児はふつうは頭が下。へそのおは母が栄養を送るチューブの役目をしている。どうして生まれる前には尿はするのに便はしないのだろうか。
◇羊水や胎児など初めて聞く言葉ばかりでした。へそのおは、けっこう細いものだとおもっていたけど1センチと知りおどろきました。逆子は、逆さまになっているじょうたいのことを言うのかと思っていたけれど、反対だと知りおどろきました。
◇へそのおは、養分を運ぶだけでなく、胎児がいらなくなったものも、胎盤をとおして交換していることを知った。羊水は最後はほとんど胎児の尿で、胎児は便をしないことも分かった。
◇羊水というものの中で胎児が育つことを今回、初めて知りました。へそのおがあることは知っていたけど、たいばんというものでつながっていたことにおどろきました。生まれてくる前は、中でせまそうだなと思いました。
(4)母胎内での胎児の成長
【ワークシートより】
◇子宮の中で胎児は、頭が下になっていることが分かった。わたしは生まれる予定日より1か月はやかったので、どれぐらい小さかったのか知りたい。
◇私は、首にへそのおがまきついて数秒間泣かなかったのですが、どうして首にへそのおがまきつくのでしょう。
◇産まれてから泣く意味がやっとわかりました。また、羊水というかんじのゆらいや、母の栄養だけでなぜ成長するのか、産まれる前はどんな形か知りたいです。
◇38週間の間で5000倍にもなってすごく成長が速いんだとわかりました。4週間目の人間の子の形がなくて自分もこんな感じだったんだなあと思いました。
◇38週間の間で5000倍になったのでとてもすごいと思いました。また、人間もはじめからその形でなく、卵のようでおどろきました。ほかに、はじめと形がぜんぜんちがうので、虫でいう完全変態のようだと思いました。
(5)命のバトン
課題③「うけつがれる命」のテーマに合うようにカードを並べかえてみよう。
〇メダカの誕生と人の誕生の学習のキーワードを提示して、班ごとにそれをカードに書いて大きな画用紙に整理して張ります。
〇黒板に張り出し、その理由を発表して、意見を出し合います(他の班への質問も)
〇教科書、NHKビデオを活用して学習をふりかえり、まとめます。
4.教材研究
(1)「人のたんじょう」資料《科学技術館メールニュースより》
昨年の夏に出産したお母さんの手記昨年の秋に妊娠し、昨年の夏に出産したという体験を通じて、「生きものの発生と成長」と「人は哺乳類である」ことについてたくさんの驚きを得ることができました。
ここでは、その驚きの一部をご紹介したいと思います。
妊娠直後に感じたこと。それは、自分の体にとって【胎児】とはたとえ遺伝子が半分受け継がれていても、【異物】であるということでした。
最初に感じた変化は、アレルギーのような鼻炎でした。くしゃみが止まらず鼻はつまる。まるで花粉症のようです。人によっては、この反応は全く出ないそうです。私の場合、この状態は出産まで続きました。
変化はほかにもあります。妊娠後しばらくしてから、腕の付け根に赤いほくろのようなものができているのを見つけました。吹き出物かと思いきや、痛くもなく、日にちがたっても大きさの変化もみられません。病院で聞いてみると、それは「副乳」でした。哺乳類である人間が、進化の途中で失ってしまった複数の乳房の名残だそう。それが妊娠をきっかけに出てきたそうです。面白いのは両方にできるのではなく、片側だけということ。人によっては、授乳を開始するとそこから母乳がにじんでくるようですが、筆者の場合はそのようなできごとはなく、出産後すぐに消えてしまいました。
驚きは自分の体だけではありません。産まれてきた子どもにも沢山の驚きが詰まっていました。
まずは、その成長スピードです。誕生時、子どもの大きさは身長は約50センチ、体重は約3キロでした。子宮の中で発生した時には2センチにも満たないサイズだったのが、たった260日程度でしっかりとした大きさに成長した。当たり前のことですが、改めて思い返してみるとその成長の速さに驚きます。
誕生後もその成長スピードは衰えません。体重は約半年で倍に、身長は10ヶ月で20センチも大きくなりました。毎日毎日大きくなっているのを実感しています。言葉を発することもできない子どもの体で、大人ではなし得ない変化が起きているのです。変化は体だけではありません。子どもの「気づき」も日々変化しています。流れ落ちる水をつかもうとして、それができなかった時の表情。鏡に映った自分に手を伸ばすと、「向こう側の子」も自分と同じように手を伸ばす不思議。つい一週間前までは、鏡に映っている自分にも興味を示さなかったのに。
これからも子どもはどんどん大きくなるでしょう。そして、どんどん気がついていくでしょう。「色」をどうやって獲得してゆくのか、どうやって感情に「名前」がつくのか、興味はつきません。
この変化を間近で見ることのできる幸運に感謝をし、それを今後の館内での活動に生かしてゆけるよう、大切に記憶してゆきたいと思っています。
執筆者:Sさん 科学技術館運営部
(2)人の誕生 NHKビデオの活用(NHK教育番組より)
(テレビを見ながら、カッコの中に言葉を入れます)1.母体内の赤ちゃんの成長
赤ちゃんが大きくなっていくときの、おなかの中の様子をみてみましょう。赤ちゃんがいる場所は( )といい、中には( )とよばれる水がたまっています。白くえがかれているのは( )です。へそのおは、お母さんの( )とつながっています。
(たいばん、羊水、子宮、へそのお)
2.子宮の中の赤ちゃん
子宮の中で赤ちゃんがどのように過ごしているのでしょうか? 子宮の中は( )と呼ばれる水にみたされています。赤ちゃんは( )を下にして、羊水の中にうかんでいます。羊水はクッションの役割もして、しょうげきから守られています。
また、羊水の中で自由に( )することができます。それによって赤ちゃんは体を( )させることができます。
(頭、運動、はったつ、羊水)
3.へそのおの役割
赤ちゃんのへそからでているものを、( )といいます。その中には赤ちゃんの( )が流れるくだがあります。へそのおは、( )につながっています。( )は、お母さんの血液から赤ちゃんが成長するのにひつようなさんそと( )をとりいれる役割をもっています。だから、おなかの中でごはんを食べたり、息をしたりしなくても大きくなれるのです。
(血液、たいばん、えいよう、へそのお)
4.動物の赤ちゃん
( )の赤ちゃんがお母さんのおなかにいるのは38週、およそ270日。( )の赤ちゃんがおなかにいるのは、人より長い330日です。( )がお母さんのおなかにいるのはおよそ650日。生まれたときキログラムから120キログラムもあります。( )がお母さんのおなかにいるのは15日。生まれてきたときの体重は5グラムです。体の大きな動物に比べ、小さな動物は、生まれてくるまでの時間が短めです。
(馬、人、ハムスター、アフリカゾウ、)
(3)「命のバトン」の授業で使ったキーワード
生物 たん生 種子 受精卵 メダカ 植物発芽 動物 インゲン ふ化 人間
(4)子どおたちへの話の要旨 (育児用語辞典をもとに)
へその緒緒は、動脈が2本、静脈が1本通っている。
母親の胎盤→へその緒→静脈(栄養と酸素)→胎児→ 動脈(胎児の老廃物)→へその緒→母親の胎盤
①静脈は、胎盤で栄養と酸素をたっぷり含んだ血液を、胎盤から赤ちゃんへと運びます。血液は栄養分で真っ赤な色をしています。
②動脈は、胎児から胎盤へ血液を運ぶ役割。赤ちゃんの栄養分のない老廃物を含んでいます。
③へその緒は、最終的には直径1~1.5センチ、長さは約50センチで、分娩時に赤ちゃんとともに出てきますが、その場で切って離されます。
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