2022-05-22

実践から考えるGIGA スクール構想(体育)

~子どもの事実を大切に~

2021年 学校体育同志会東京支部東京支部第2回学習会(東京支部 Yさん)

第2回学習会が、11月28日(日)14時より、オンラインで行われました。
この学習会の発端は、知人の小学校教員OBで様々な教育問題に取り組んでいるN氏より「ロイロノートを体育でどう扱うか、検討のお願い」というメールが届いたことでした。
研究部長に相談し、常任委員会で検討し、支部学習会に若手の協力を得て取り上げることになりました。
この問題の社会的な背景や全体像も視野に入れつつ、学校現場の特に体育の授業でどう活かせるか、現状と問題点は何かなどについて、交流し話し合いました。
参加者は、16人でした。

冒頭に、「GIGAスクール問題をどう受け止め、どう対処するか」と題して発題を述べました。
この1年間に発刊された雑誌のこの問題を扱った記事を紹介しつつ、この問題が、財界・政府の進める「Society5,0構想」からきており2919年に予算化されたことなどを報告し、同志会らしさを大切にしてタブレットありきにはならないことの大切さなどを述べました。
※GIGA:global and innovation gateway for all 全国の児童・生徒に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する文科省の取り組み  
ICT:information technology 「情報通信技術」の略

引き続き、研究部長の司会で学習会を進行しました。
まず、現場の実態を知ろうということで、3人の方から報告してもらいました。

Aさん:小2の実践

タブレットを使う前と同じでは意味がないと考え、工夫している。
跳び箱の授業で、動画を撮影し跳んだらすぐに自分の動きを確認できるのがメリット。
難点としては、タブレットの扱いに慣れていないので操作に時間がかかり、跳び箱を実際に跳ぶまでに時間がかかってしまうことがあった。
感覚の共有ができるので、これを使って子どもたちの事実をつかみ学びを深めていきたい。
 

Bさん:小6の担当

自分は野球を専門にやってきたので、野球の動作分析に使っている。
ある運動をしたときの自分の感覚と、実際の動作との間にはズレがある場合がある。
それを写真や動画を見ることによって修正できるのではないか。結果とプロセスの理解など、タブレットはtoolとして使っていきたい。
GIGAスクール構想自体は、経済省から降りてきたもので、その経過も気になるところだ。
 

Cさん:山梨の小学校、今は日本語の指導を担当

山梨のこの地域ではソフトはクロームブックが採用され ているが、ロイロノートの方が使いやすいと思う。
タブレットを使うと、子どもたちに映像で見せることができるのが魅力的だ。
文章が書けない子どもには、映像が有効である。体育の指導でも、体育が得意ではない先生には助かる。
同様に書くことが苦手な子どもには役に立つ。

3人の報告を受けて、次のような発言がなされました。
〇教師が主体的に教育活動をできなくなることが心配
〇連絡帳がわりに使える
〇目的をもって使っている人はほとんどいない。休み時間は使えないなど制約が多い
〇うまく使いこなせる子とそうでない子の格差が大きい
〇エラーの訂正がすぐにできる点は良い。

実践報告<ネット型種目でICTの活用について>
Dさん(小学校)

ゲーム領域での有効活用を考えました。
ソフトバレーボールで、相手コートから来たボールを、キャッチしてパス~それをキャッチしてトス~それを打つ(アタック)という課題に挑みました。
トスを上げる位置はネットに近いセンターかレフトか、又はバック(ネットから遠い)とではどちらが有効かという学習課題に取り組みました。
それをタブレットを使った動画を見て学ぶというものでした。

議論の中では、授業のねらいはどのようなもので、ねらいを達成するために有効だったのか、バレーボールの教材研究の大切さ、小学生に教えるバレー技術の中でアタックの位置づけについてなどが話されました。
また、目で見ればわかるものはタブレットを使わなくても良いのではという意見も出ました。
3学期に引き続き研究会が行われるとのことでした。

参加者のEさんの感想

探求的な学習のツールとしての可能性の検討を
体育をめぐるタブレット活用について、現場の状況ベースで、リアルな問題・課題が色々な面から出されて、興味深かったです。
この問題はこれから一層掘り下げが必要にならざるを得ないことだとうと思います。
学習のねらいの内容を明確化すること、それに関わる子どもたちの学習も事実を客観化すること、その事実を元に学習の課題を導き出したり学習の課題の理解を深めたりすること、自分たちにとって意味のある課題解決の方法を探求すること、こうした学びのそれぞれの局面で活用可能なところと、活用が難しい部分を見極めていくことが必要になりそうです。
そこでは、実際に授業を作る教師と子どもたちの実態に基づいた検討が必要でしょうし、授業を支える学校の ICT への対応・姿勢が影響することでしょう。
ともかく探求的な学びを豊かにしていくツールとしてどうなのかという基本的なスタンスをしっかり持っておくことが大切になりそうです。
今日は議論する時間はありませんでしたが、「個別最適」ではなく、集団的組織的な学びを深めるために、さらに言えば、必ずしも正解があるわけではないような問題の集団的組織的な探究で、学びの面白さや意味を実感できるような学びを作るために、 ICT は役立つのかどうか?特に体育に関してはどうか?悩ましい問題はいっぱいです。
ともかく、大変面白い企画をしてくれた東京支部の皆さんありがとうございました。

〇教育政策的には問題だらけですが、今後も、引き続きこの問題を追っかける必要性は大です。
ツールは有効活用したいものですが、一方、学校・子どもの現実は本当にこれを必要としているでしょうか?
35人のクラスで子どもはバラバラ、先生は悩んで学校に姿を見せなくなってしまうという話を聞きます。
さらにみんなで考えていきたいテーマのようです。
 


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