Zoom教研〔①6月、②8月(武蔵野と合同)】報告
タブレット活用交流会① |
タブレット活用交流会② |
北多摩東教育センター運営委員 中山和人
目次
1.ロイロノートの活用での先行実践の分析
2.私の授業をもとに活用場面の検討
3.タブレット活用にあたって大切にしたいこと
各市の先生方との交流の中で、「タブレットが配布されたのだから、とにかく使うように」という指示で困惑している実態がたくさん寄せられています。
わたしは、次の様に語ってきました。
・子どもがよく分かるように、ツールとしてどんな場面で使うのが効果的か
・積み上げてきたすぐれた民主的教育実践をタブレット活用バージョンに(ベテランと若手のコラボで)
・気軽に交流する場(Zoom併用)・少人数で何回も学び合う場を広げましょう
そこで、今回、タブレット配布前の自分の授業を振り返り、検討します。
メダカの誕生 |
板書「動物のたん生」 |
板書「メダカの誕生」 |
ICTの活用 オスとメスの体の形の違いと水中での受精・産卵の時の役割と関係づけについてノートに書き込む。タブレットを活用してノートを写真に撮り、班の中・学級で共有し、友だちの文を参考にさらに各自でノートに書き加える。(この実践の年度はタブレットは配布されていませんでした)
(授業の後半に、ビーカーに1匹ずつメダカを入れ、オスかメスか班ごとに判断し黒板に書かせる。次の班とメダカを交換して、判断が正しいか確かめあいをする。板書の〇はその印です)
【子どものノート】
◇オス・メスの役割は子どもを残すことだと思いました。オスは精子をかけ、メスは卵を産む。そうして、子孫を残していくのだと思いました。
◇メスが卵を産むときにオスの精子が流れていかないようにオスはしりびれでつつむようにして受精する。
◇オスは、メスが卵をうんだとき、精子をかくじつにかけられるように、しりびれが、平行四辺形、背びれに切り込みがはいっている。メスは、卵をうむのが役割。予想だがしりびれは三角形でたまごをうみやすい。
4時間目:顕微鏡の使い方(双眼実体顕微鏡と解剖顕微鏡)
5・6時間目メダカの受精卵
課題③受精卵の中でメダカはどのように成長しているか観察しよう。
観察の様子は、タブレットによる写真ではなく、ノートに鉛筆で書く。観察して書きながら、気づくことがあります。そうした過程を大切にしたいと思います。書くことを通して思考を深める場だからです。
理科でノートに書くことの意義を考える
観察の視点が明確になると、子どもは自分でノート書きながら、発見し・考え、それを自分の言葉で記録していきます。書く活動は、思考を深め考える力を伸ばす大切な学習活動です。これをタブレット活用に切り替えてネットで調べることが効果的とは言えないのではないかと考えます。どの場面でタブレットをどう活用するかは、発達段階と授業のねらいで決める問題です。
●先行事例の授業では、場面4でタブレットを活用し、場面②と場面⑥での活用は再検討が必要だと思います。
【参考】以前の教科書では、メダカの誕生とプランクトンの観察が教科書では連続して取り扱われていました。その時の「メダカの誕生」の全体の授業記録は、わたしのブログ「板書ノート」にあります。参考にしてください。ネットで、【bansyonote】と検索すると、「板書ノート」が出てきます。5・6年の理科の全単元の1時間ごとの板書や子どものノート・教材研究が出ています。
①今までの授業で大切にしてきたことを継続して、子どもの基礎学力をつけるために、よくわかる授業にツール(道具)としてどの場面で使ったらいいか、使わない方がいいかを考えて実践してみる。
②タブレット活用について、自分の実践・疑問などを気軽に交流する場を、同僚や教研(Zoom併用)の場で少人数で何回も重ねていく。
③積み上げてきたすぐれた民主的教育実践・教育課程づくりの成果を生かすために、ベテランと若手のコラボでタブレット活用バージョンにしていく。(学習指導要領から出発するのではなく子どもの実態に即して)。
④デジタル教科書・タブレットの活用で可能性が広がる新たな学習方法の研究は、教材研究と一体で。
こうした授業の拠り所は、
憲法26条「 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」
・・・・教育を受ける権利の保障。普遍的で共通の教育=普通教育を受ける権利の保障
タブレット活用「先行実践」授業の検討②
説明文の授業の検討 |
〔授業の検討〕
◆「教材文を読む」とは、ロイロノートを使い「わかりやすい順序に並び替える」ことになっています。「説明文の教材文を読む」ことを通して「論理的思考力を育てて、文章を論理的に読解する思考力を身につける」(「読みの授業と理論」子どもの未来社)ことが大切です。そのためには十分な指導時間をとり、つなぎ言葉にも着目し、何をどのように説明しているか、丁寧な授業が望まれます。
◆「説明する文章を書く」では、タブレットを使って写真のトリミング・文章を写真で撮る・友達と共有する・感想を付箋に書いて伝え合う学習でタブレットが多く使われています。低学年では、「順序良く書く」時間を十分保障し、個別指導も必要になってきます。場面5でタブレットを活用して「感想を付箋に書いて伝え合う」活動をしていますが、自分で友だちの作品を読む・学級で作品を読み合い話し合いで深める授業が大切だと思います。
◆理数系8学会が文科省にデジタル教科書推進にあたって提言を出したが、次の事項は参考になります。
「生徒が学習した内容を自分のものとして定着させるためには、自発的に学習内容を記録・整理する時間を十分取ることが不可欠です。デジタル教科書の使用によって、学習内容が短時間に効果的に提示され、教師の提示内容と同じものが即時的に手元に残せたとしても、それだけでは学習したことにならないのは当然です。デジタル教科書による学習の「効率化」が、生徒が手と頭を働かせて学習内容の記録・整理をおこなう時間の縮減につながらないように、十分な配慮が必要です。」
◆現行の学習指導要領にもとづく教科書でも、文学教材や説明文教材は、じっくり話し合いで読み深めることよりも、表現活動のための「お手本=例示」の様な扱いです。学習指導要領によって価値ある文学教材・説明文教材が激減してきている実態から、教科書にある教材は、読み取る力をつけるために丁寧に扱いたいものです。
海外のデジタル教科書と教科書制度について
~「海外教科書制度調査研究報告書」
(教科書研究センター)を読んで①~
中山 和人(北多摩東教育センター・東京民研共同研究者)
日本中の小中学生にタブレットが1人1台配られました。これは、2024年度にまず小学校から本格的に導入されるデジタル教科書を使うためのものです。
「デジタル教科書は世界のすう勢」と言われます。そこで海外のデジタル教科書を調べ始めたら、「おや?やはり・・・」と感じたことがあります。
デジタル教科書活用の前提である教科書を誰が選ぶのか(選定)、そして教科書検定制度とカリキュラム(日本では学習指導要領)の在り方が、日本が極めて特殊な環境にあることに気がつきました。
今の日本の教科書制度・検定や採択の在り方のままでは、デジタル教科書の特徴を生かした創造的な教育が阻害されて、世界から取り残されてしまうのではないかと思いました。
公益財団法人教科書研究センターでは2018~2019年にかけ、42か国1地域を対象に教科書制度を調査し、「海外教科書制度調査研究報告書」を刊行しました。48名の研究者による448ページの分厚い報告書です。
この報告書を読んで明らかになったことを中心に、文科省HPなども参考にしながら、報告します。
海外教科書制度調査研究報告書の構成は、次の様になっています。
①教育制度、②カリキュラム、③教科書制度、④デジタル教科書の現状や政策、➄興味深いテーマから見る教科書、この中から、今回は③教科書制度(特に検定と採択の部分)、④デジタル教科書の現状や政策、この2点について調査対象となったヨーロッパ14か国と日本を比較してまとめたものを報告します。
(注)明朝体は、海外教科書制度調査研究報告書の本文のママ、ゴシック体は筆者による加筆
①英国・イタリア |
エストニア・オランダ・スウェーデン・スペイン・デンマーク |
ドイツ・ノルウェー・ハンガリー |
フィンランド・フランス・ポーランド・ロシア |
日本 |
教科書への国・教育行政の関与の実態比較
(教科書検定制度と教科書の採択権限)
教育行政の関与の実態比較 |
調べて気が付いたことは、日本とヨーロッパ諸国の教科書制度の違いです。
日本とヨーロッパ諸国の比較 |
😲「過度に競争的な日本の教育体制」(国連子どもの権利委員会の勧告)のままでは、デジタル教科書のもつ可能性や創造的な活用も阻害される懸念がある。
さらに、教育の基準とされるカリキュラムについては(今後詳細な報告を予定している)
〇ヨーロッパでは、教員の裁量(専門性の尊重)が保障されている。
〇日本では、文科省の学習指導要領で教育内容・方法にも厳しいしばりがある。
デジタル教科書の活用にあたっては、
拠り所は、
憲法26条「 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」
・教育を受ける権利の保障。普遍的で共通の教育=普通教育を受ける権利の保障
「子どもの最善の利益」(子どもの権利条約と日本政府への勧告)
そのためには、学校と教員の自主性・専門性が尊重されることが必要だと思う。これは世界の教育のすう勢になっている。合わせて、子どもの健康への影響について、医学的な検証を進めること。
ヨーロッパ諸国と比べてみると、日本では学習指導要領による教育内容と方法への管理統制が厳しい現実があります。デジタル教科書の持つ自由で創造的な活用の可能性を考えた時に、学習指導要領と教科書検定制度・採択制度の抜本的な見直しが必要になっていると思う。さらに、(今回はふれませんでしたが)ゆきとどいた教育条件の土台になる少人数学級の実現が課題だと思う。早期の中学校の35人学級、さらに30人、20人台学級をめざす課題です。学校現場からの子どもの実態と実践に基づく発信と保護者・市民の運動が実現の鍵だと思う。
◆「海外教科書制度調査研究報告書」(教科書研究センター:2018~2019年に42か国1地域を対象に調査)
◆文部科学省HP「GIGAスクール構想の実現」「教科書制度の概要」「諸外国におけるデジタル教科書・教材の使用状況について」
たまどうぶつえんの こんちゅうえんでは、たくさんの チョウが とんでいます。
(いまは よやくせいです)
9月に うまれた チョウのかずは
なんと 752!
すてきな チョウの レストランが ありました。
この どうがを みてください。
らいしゅうは、しいくいんさんに きいた
たのしい こんちゅうの おはなしです。
2021年10月1日(第37回)
セミのぬけがら・空気ほう・ミニケーキ |
ネコ・チリモン |
オンライン・サイエンス教室 |
3回のオンラインコース |
2021年9月24日(第36回)
子どもの作品 |
10月になると 赤や き色の おちばの きせつです。
あつめた おちば |
つくる じゅんじょ |