2022-05-07

今、「タブレット一人一台」の学校では・・・インタビュー

~3人の先生へのインタビュー~

1.東京都 小学校(1年生の担任)

問:タブレットをどのように使っていますか? よいこと・困っていることなど

〇配られたものはタブレットではなく大き目のパソコンです。
自分の持っているノートパソコンの2倍以上の重さです。
机の上にパソコンとノートを置いて使うことは、スペース的に低学年では出来ません。
また、5台ずつケースに入っていて、教室にあるボックスからの出し入れは担任がやらなければならないので、準備に時間がかります。
アカウントとIDは持ち上がりますが、機器は教室備え付けです。

〇タブレットの使い方の練習
・いろいろなソフトがあるので、お絵描きソフトなども使っています。
・ローマ字入力の練習ソフトを使用
ひらがなで「か」を入力すると⇒「ka」 と変換される。
「k」・次に「a」を押しましょう⇒「か」と変換される。
(画面に「か」と出たら
⇒ローマ字表(児童に配布してある)を見て、キーボードの「k」「a」を探し押す。)
・手書き入力の練習
 画面にタッチして指で文字を書く⇒画面に文字が出てくる。
しかし、画面に単語を指で書くと、漢字かな交じり文に変換されてしまい、子どもの読めない漢字が出てくるので、文字だけの入力練習です。

〇生活科
アサガオの観察で使いました。外でパソコンを開くと画面が光ってしまい、まず大騒ぎ。
発芽から始まり合計7回使いました。各自タブレットで写真を撮りました。
1年生は文字は打ち込めないので、担任が保存場所をつくり、そこに各自で保存しました。
プリンターと連動していないので、プリントすることはできません。
紙の観察記録を別につくり、まとめなどはそちらを使いました。
タブレットで写真をとる経験をさせる程度の使用です。
自分の一番気に入ったアサガオの写真を選んで、大きなテレビ画面に映して見せ合いました。
子どもたちは、タブレットを使うこと自体が楽しいのですが・・・・。
保存したりする中で様々な不具合が生じて、35人いるので、それへの対応でとても時間がとられます。
また、「学校探検」では、学校内の様々な場所の写真をとってきて、大型画面で見せ合いました。

〇国語
「自動車図鑑をつくろう」の学習で使用。
自動車の絵を担任がいくつも用意して、その中から興味のあるものを選ばせます。
拡大してみることも出来ます。
その後、選んだ自動車についての解説文をプリントして渡します。
それをもとにノートにまとめます。
タブレットの写真とノートを机の上に一緒に並べてやるスペースがないからです。

〇画面を壊してしまった児童の分は、今のところ学校にある予備の機器で対応しています。
まだ家庭に持ち帰ることがほとんどないので、破損する事故は少ないのですが、この後、ひんぱんに使うようになり壊した時の対応は決まっていません。

〇音楽会に保護者は参観できなかったので、行事の様子を撮影した動画を家庭でみるために、一度持ち帰りました。

〇低学年では、文字を打ち込むことはしていませんが、中学年になった時に使い方が分かるように、様々な練習に取り組んでいます。
低学年では、手で文字を紙に書くことで認識を確実にすることができるで、1年生からこうした機器を使わせる意味があるのか?
そのために多くの準備も含めて時間を費やす必要があるの?疑問に思います。

〇ICT支援員は、ベネッセから月に2回程度学校に来るだけです。不具合への対応など教えてもらうことも出来ずにいます。

〇大型テレビは各フロアに何台かありますが、各教室内に設置されていないので、使う時にガラガラと引いてきます。

問:教育委員会や管理職からタブレット活用について言われていることは?

〇校長からは、今のところ特に「こう使うように」などと言われてはいません。
市教育委員会の訪問・視察の時に、用意した指導案にパソコンを使う授業かそうでないか調査はされました。
積極的に使う先生もいますがが、苦手な先生もいます。

問:ICT教育(配信)で知りたいこと・情報は?

〇機器を使うことだけが決まり、あとは各自治体、学校任せのような気がします。
使用する機器、使い方も各自治体で異なっていて、それでいいのかなと思います。
〇児童が所属する学校や地域によって、機器使用の差が出てしまうのではないか、転校をしたりしたときにうまく対応できるのかも心配です.
(ただ、子どもは、このような機器への対応力はあると思っています)。
〇現在の導入の仕方では、パソコンを使って一体何をしたいのか分かりません。
教員の機器に対する技能も異なっています。子どもたちも楽しいだけが先行しています。
低学年はそれでいいのかもしれませんが・・・

2.東京都 中学校(国語科3年) 

問:タブレットをどのように使っていますか? よいこと・困っていることなど

〇資料提示として
詩の授業:高村光太郎の「レモン哀歌」で活用した。
シンガーソングライター米津玄師さんがインタビューで、「Lemon」の曲に関連する作品として、この「レモン哀歌」を紹介していたネット上のインタビュー記事にリンクを張って生徒に読ませた。
「レモン哀歌」を教材研究する際に作品中に登場する「がりりと噛んだ」という表現から、「Lemon」の「苦いレモンの匂い」という歌詞が連想された。
調べてみると実際に米津玄師が「レモン哀歌」を意識していたことがわかった。
「がりりと噛んだ」から、「皮ごとかぶりついたため苦い味がしそう」と想像する生徒が多いが、「米津玄師もこの作品をそう解釈したんだね」と紹介することで、詩の解釈を裏付け共感的に読解することができると考え授業内で取り上げた。
(米津玄師:確かに「レモン」って文学的なニュアンスがあるとは思ってて。他にも高村光太郎の『智恵子抄』(「レモン哀歌」)とか。そういうものからレモンが無意識的に自分の頭の中にはあって、そこから出てきたっていう面はあるかもしれないです。・・・)

〇感想をクラスルームへ
この学年の生徒たちは自分の書いたものを人に見られることに抵抗があり、感想文の交流は難しい。
そこで、作品の感想を生徒がタブレットを使って書いて、それをクラスルームに入れさせた。教師が生徒の書いたものに評価をして生徒に返すことが出来るが、やろうとしたが、実際には機器の不具合がたびたびあり、うまくいかず苦労した。

〇音読
音読をする学習は、コロナ禍の中で教室で実施することが出来なかった。
そのため自宅で各自が音読したものを録画させて、授業の中で友だちとデータを交換して、互いにアドバイスをすることが出来た。

〇市の教育委員会が各学校で1教科デジタル教科書を使えるようにしました。
教科の指定は教育委員会がしました。本校は国語が割り振られました。
生徒は紙の教科書とデジタル教科書を選択して授業を受けます。拡大・書き込みなどが出来ますが、紙の教科書をそのままタブレットで見られるようにしたものなので、違いはあまり感じられません。
デジタル教書を選んでいる生徒の割合は1割程度です。

〇タブレットを使っている生徒の反応は、楽しそうにしていますが、関係のないサイトにアクセスしていることもあるためタブレットに関わる生活指導が増えました。
集中力が持続しない子は、タブレットの使用を気にかける必要があります。


問:教育委員会や管理職からタブレット活用について言われていることは?

2学期は、コロナ感染者が急減したため学校行事などが数多く復活してきた。
その指導に毎日追われていることもあり、管理職から今学期はタブレット使用について言われることがなくなっている。

3.東京都 小学校(1年生の担任)

問:タブレットをどのように使っていますか? よいこと・困っていることなど
〇国語 発展的に調べる学習で資料提示として活用
説明文「はたらくじどうしゃ」の単元で、各自で自動車について資料をみて書くという発展的な調べ学習がある。
今までは、絵本や写真などを配っていたが資料の冊数が足りないので、順番待ちになったりよい資料(絵本や写真集)の「とりあい」でトラブルになったりしたこともあった。
1年生はどれがいい資料なのか選びとることが難しい段階なので、担任が適切な資料をいくつか選んで写メをタブレットを使って各自に配信した。
子どもたちは、落ち着いて資料を見ることが出来るのでスムースに学習に取り組めた。
また、拡大して絵や写真を見ることが出来たのもよかった。
調べたことは各自でノートに書かせた。担任も資料づくりと提示がうまくできた。

〇算数 計算問題の答え合わせにタブレットを活用
担任が出張や休みの時、プリントを配って各自で取り組ませる。タブレットのクラスルームに答えの写メを入れておいた。
子どもは、プリントが終わったらクラスルームを開いて、各自で答え合わせをする。
同学年の先生が休んだ時、そのクラスのクラスルームに入れるので同じものを使って対応できた。

〇算数 図形のブロック型(立体タイル)を各自で動かして、計算の仕組みを理解するアプリを活用。
半具体物の立体タイルを動かすときは、縦にしたり横にしたりして別の遊びを始めることもあったが、このソフトだと、子どもが考えながら一人一人がブロックを動かせるよさがある。
しかし、ブロックを一気に動かすことが出来ないので、半具体物の実際のブロックを動かす作業の方がよかったように思う。

〇学級活動などで賛否を問う投票
運動会のスローガンをいくつかの候補の中から選んだり、学級活動でやりたいことをいくつかの候補の中から選んだりする投票行動に活用した。
話し合いをメインにするときには使わない。

〇文字を書く活動には1年生は使わない。
高学年の先生からは、国語で俳句を考えてタブレットに書き、それをグループで見せ合ってコメントを書くなどの活用方法を聞いている。
高学年なので挙手してコメントを発表することに抵抗のある子どももタブレットだと抵抗なく書いていると聞いている。
しかし、1年生はこうした文字の入力はできないので、資料提示等の活用で使っている。

〇画面のいろいろなところにめちゃくちゃにさわってしまって、どうやって元にもどすのか、わからないので、そうしたトラブルへの対応が大変です。
指で拡大したら、拡大しすぎてなんだかわからなくなったということもある。
中には教員以上にタブレットの取り扱いがうまい1年生もいて、友だちの画面のトラブルを見つけると、すぐ直してくれる子どももいる(但し、その際、勝手に設定を変えて友だちに返すので困ることがある・・・)。

〇コロナ禍、保護者との共通理解を図る話し合いの場がないこともあり、困っていることがある
市教育委員会の方針で、「勉強以外に使わないこと」「先生の指示したソフトだけを使うこと」と指導して、毎日、家庭に持ち帰り、充電してくることになっている。
その際、市教育委員会の方針でタブレットに〇ギガを入れてあり、Wife環境のない家庭ではそれで対応できるようになっている。
ギガ数を使い切ったら、全員分が学校でプールしてあるので、それで対応できる体制になっている。
しかし、タブレットからWebに繋がるので(バイアスがかかっているが)保護者から「タブレットから離れないで困る」などの声も寄せられている。
高学年の先生からは、子どもの中にはバイアスを乗り越えて、よくないサイトにつなげてみている事例、そしてそれを先生が確認できないことで困っていると聞いている。
市教育委員会から、「〇〇(児童名)はギガ数が異常に多いから調べるように」と注意されることがある。
保護者と話し合う場自体がない中でタブレット使用が始まっているので、保護者がどう受け止めているのか、要望も含めてがわからないでしる。

〇ICT支援員が週に何回か学校に来ているが、授業中のトラブルの対処では呼ぶことも出来ないし、どこにいるのかもわからないので、うまく活用しきれていない。

問:教育委員会や管理職からタブレット活用について言われていることは?

〇校長からは、市教育委員会の訪問・視察の時は、タブレットを使った授業の略案をつくるようにと指示された。

〇校長の授業観察(人事考課の資料)の時は、必ずタブレットを使った授業をするように指示されている。
そこで、タブレットを使った授業を実施したら、後で校長から「あれは、(タブレットでなく)実際のもののほうがいいよね」と言われた・・・・・。

問:ICT教育(配信)で知りたいこと・情報は?

〇もっとよい活用方法を知りたい。

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