2023-10-16

デジタル教科書の効果と弊害の検証

デジタル教科書の効果と弊害の検証

1.デジタル教科書への懸念の広がり、効果と弊害の検証を深める必要性

2022年4月24日の読売新聞の社説、2022年5月29日の朝日新聞の社説余滴が相次いで、文科省が2024年から本格導入をめざすデジタル教科書について懸念を表明しました。

読売新聞は810万部、朝日新聞は558万部、日本の新聞の1位2位が社説で主張している内容は学校の実体と声を反映し、学習効果への懸念と、効果と弊害の検証を深めることを求めています。社説のそのポイントをみてみましょう。

2.読売と朝日の社説が指摘している懸念

読売新聞の社説では、

◆デジタル教科書について、読売新聞が公立小中学校500校を対象にアンケートを実施したところ、全面移行に懸念を抱く学校が全体の9割近く。「紙の教科書をメイン、デジタルを補助的にすべきだ」という回答が52%に上り、その逆は14%にとどまった。

◆国が子どもたちに端末を配ったのは、消費増税後の経済対策の側面もあった。使い方は本来、教育にどの程度有効なのかという観点で論じられるべきだが、その検証が不十分なままデジタル教科書への移行を進めるのは問題だ。

◆デジタルは紙に比べて記憶に定着しにくいという研究結果が脳科学者から相次ぎ発表されている。経済協力開発機構(OECD)の分析でも、コンピューターの使用頻度が高い学校ほど読解力の成績が低いという結果が出ている。

この1か月後の朝日新聞の社説余滴では、

◆経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査では、デジタルより紙に親しむ生徒の方が読解力が高かった。紙の方が、記憶や読解の効果が高いとする研究も複数ある。

◆本格導入を求めた有識者会議の中間提言に対するパブリックコメント(意見募集)には310件の意見があったが、(意見全部を入手した結果)賛否問わず熱心な注文や指摘が書き込まれていた。学習効果に否定的な研究を示した意見、公表資料にはない「メリットばかりが強調」「課題の検証を後回し」との表現も目に付いた。子どもに影響が大きい政策。効果と弊害の検証を深めてからでは遅いのか。(読売新聞は)意見を異にすることが多い新聞だが、本件については、同感してしまう。

3.効果と弊害の検証 文科省内の資料

両紙の社説でデジタル教科書の学習効果への懸念の研究結果がいくつも出ていると書かれています。

今年の文科省内の会議で配布された資料にもそれが反映されています。資料をご覧ください。
文部科学省 「教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループ(第2回)」令和4年4月25日 
「デジタル時代の読解」4.25.2022 @文部科学省 2022
 ペンシルバニア大学 バトラー後藤裕子 資料A

この研究者の資料では、デジタル世代(2000年以降に生まれた子どもたち、若者のデジタル使用の実態を示したうえで、子どもの読解力の変化を指摘しています。

伝統的な読解

• 文字情報を解読し、単語を認知する(decoding)
• 文字情報から意味を構築する

デジタル時代の読解

• 伝統的な読解に加え、動画などマルチモダル(聴覚・視覚情報)の情報を総合した多様な形式の情報を、文字情報と組み合わせながら処理する

21世紀求められる読解力とは何かを論じています。その上で、紙媒体デジタル教材の効果について実証的な研究結果を紹介しています。
ここに注目してみると、次にように書かれています。

資料Aの①










































ああ






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